最近、「発達障がい」と診断される子どもたちが増えたと言われます。子育てをしていると色々な心配ごとにぶつかります。言葉の発達がおそい、落ち着きがない、トイレや食事などの生活習慣のしつけできない、泣き出すといくらあやしても泣き止まない、人見知りが強くて新しい仲間と出会えない、こだわりが強すぎる、などなど。そういうことって、ある程度なら、どんな子どもであるような、普通のことかもしれません。でももしかすると、その背景に発達障がいがあるかもしれません。発達障がいは「早期発見」「早期介入」が大切だとよく言われます。でも、せっかく一生懸命我が子と向き合って育てているのに、とつぜん、「子どもが発達障がい」なんて言われたら、せっかくの「早期発見」が「早期絶望」になってしまうことも、あるかもしれません。
じつは、巷でよくいわれている発達障がいの「早期介入」には、たくさんの誤解があふれています。このコーナーでは、「子どものこころ科」の専門医が、本当に必要な支援はどんな支援なのか、について解説したいと思います。
小野 真樹 (おの まさき)
子どものこころ専門医
NPO法人ルカ子ども発達支援ルーム
代表理事
愛知県医療療育総合センター中央病院
子どものこころ科 医長
本当に必要な発達支援は、「子どものために頑張ること」ではありません。また、「子どもの能力を伸ばすために訓練すること」でもありません。そうではなくて、本当に必要なことは、子どもが生まれつき持っている「輝き」を発見して、そこに光をあてて、ありのままの「輝き」をもっとキラキラと輝かせるということなのです!
でもね、いま、子どもの育ちが心配で、このサイトを見ている貴方はもしかすると、そんなことを言われても、全くこころに響かないし、ただの「きれいごと」のように思えてしまったりはしないでしょうか?
最近は、世の中にいろいろな情報が溢れています。表面的には「多様性が大事」なんて言いながら、ネットやSNSでは差別用語を平気で発信していたり、弱者を切り捨て陰口を言い合ったりしていても、だんだんそれが普通で、抵抗を感じることが少なくなってきてはいないでしょうか? ようするに、みんなが余裕がなくなって、「自分の身は自分で守れ」「結局は弱肉強食」と考える人たちが増えてきたのかもしれません。
でも本当は、子どもって、誰でも、何も努力しなくても、闘わなくても、みんな生まれつき、とても大切「輝き」を持っているんです。これはきれいごとでもなんでもありません。生物学的な事実なんです。だって、赤ちゃんって、無条件にかわいいですよね。
「社会性」を持っている動物は、みな、未熟な姿で生まれてきます。そして、親からお世話をしてもらいながら成長して大人にになるようにできています。だから、子どもたちは、親が「お世話をしたい」っていう気持ちを自然に抱くように、生まれつき「輝き」を持っているんです。
そして、大人が子どもの「輝き」を発見して、それを大切にあつかってあげるということは、子どものこころの発達に、大きな影響を与えることです。
ひな鳥は、餌を運んできてくれて、お世話をしてくれた相手を、自分が信頼すべき「味方」なんだ、と学習します。
ペットで、「手乗り文鳥」ってご存知でしょうか?
手乗り文鳥は、小さいときから、人間が餌を与えて世話をして育てた文鳥のことです。そうやって育てれば、鳥でも人間のことを「かけがえのない味方」だって、考えるようになります。
幼いときに誰がお世話をしてくれたのか、ということの影響は、おとなになったあとも、ずっと残り続けるのです!
人間も、幼いときに、子どもが「輝き」を見つけてもらって、大切に扱ってもらえたかどうかってことは、その人のその後の「こころの発達」に、とても大きな影響があります。
でも、子どもに発達障がいがあると、うっかり、その「輝き」を見失ってしまうということがあります。だから、発達障がいの「早期発見」と「早期介入」が重要なのです。
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